デザインコンペの盲点
今回は、ウェブサイト制作の業者選定の際に行われる「デザインコンペ」の盲点について解説します。
発注側にいると、
「いろんな会社のデザインが見れてラクだし、確実だし、ちょっと楽しそうだしいいわ〜」
と思ってしまいそうですよね。確かにデザインをいろいろ見れてイメージしやすそうなメリットはありますが…なかなか油断できないデメリットもあるんですよね。
では、複数企業にデザインのコンペティションを依頼する際、発生する注意点「6つ」を解説します。
そして最後に「解決策」もご紹介しますね。
①本当にその制作会社がデザインしているか不明
いきなりですが、デザインをパッと出されても、その制作会社が本当に作ったかどうかは、発注側からするとわかりようがないんですね。
ウェブ業界では「再委託」というのはよくある話で、忙しい時や、忙しくなくても下請け企業に「コンペ用にデザイン」を依頼する会社もあるからです。
最も確実なのは再委託をしているのか聞くこと。また実際に契約する際の契約書も見せてもらい、どこまでの範囲を再委託するのかも単刀直入に聞いてみることです。
ホームページ制作会社のなかには、顧客が圧倒的不利な契約書をシレッと出す会社もあるので気をつけてください。
②準備が大変
発注側としては「デザイン出してね」「いい感じでよろしく」なんていう適当なオーダーはご法度。
これでは、もし制作会社が作ってきたとしても、いきなりボタンの掛け違いが発生します。
発注側の企業も、自社の説明や現状の課題、現在のウェブサイトの問題点、リニューアルにおいて実現したいこと等々、「要件定義」をまとめておく必要があります。この準備は結構大変。
③時間がかかる
ウェブデザインとは、プロにとってはチャッチャッとやれば出来るものではなく、全項目②をふまえて社内にてさまざまな案を検討し着手するもの。
つまり、コンペとは各社のデザインが出てくるまでに、各社それぞれの時間が長くかかってしまうのです。
④辞退が発生する
期待していた制作会社から「コンペ辞退」の連絡が急に来たり、事前に断わられるケースがあります。
人気があったり、少人数でまわしているホームページの制作会社は、契約済案件のみで手一杯なことがよくある。
お金になるかわからない、勝てる見込みも不明なコンペティションを避けるのは珍しいことではありません。また、デザインのアイディアだけを持っていかれることを警戒する制作会社もあります。
⑤素人だと判断できない
複数社からデザインが出てきてワクワクするところですが、冷静に各社のデザインを比べる際に「どう判断していいかわからない…」「素人が好みで決めてしまっていいんだろうか…」となってきます。
社内のスタッフに聞いてもそれは同じ。みんな自分の気分や好みが便りで、深くは考えられず、なんとなく選ぶしかありません。
⑥お金がかかることも
制作会社によっては、お金がかかることもあります。コンペ=タダではないんですね。もしお金の話になっても「無料じゃないの?」と喧嘩腰にならないように気をつけて。
例えば、発注側の企業があらかじめ「コンペティション費用◯◯◯◯円」というように、対価を支払うことをお願いしてくるパターンもあります。
【解決法】コンペ以外の選定方法は?
「じゃあデザインを見ないで、どうやって業者を決めるの?」
そんな疑問はわきますよね。しかし解決法があるんです。それは、
「企画+施策+参考サイト」
を各社に持ってきてもらうこと。各解説は以下です。
①企画
どのようなコンセプトで現状の問題解決をするのか「要件定義」を出させる。
②施策
「集客」はどうするのか?方針をチェック。集客をはぐらかすウェブ会社も結構あるので注意。
③参考サイト
例えばどんなデザインになるか?参考サイト集などから持ってこさせる。
上記①②③を見るだけで、自社から出した要件定義に対して、どれくらいの「整理整頓力」があるかを見ることができます。ホームページにおいてデザインとは確かに重要ですが、デザインはこだわりすぎるだけ無駄という側面もあるから。
それよりも、まずはデザインの前にある超重要事項「サイトの整理整頓力」が大切なんですね。むしろトップページのデザインという「見た目」だけで良し悪しを判断すると、ウェブサイトがどれだけの問題を解決してくれるのか、集客はどうなのかという肝心なところが判断できません。
なんとなくデザインコンペに走りたくなるものですが「ウェブサイトづくりの本質=現状の問題解決=整理整頓力」が最も大事であると知っておくと、良い業者が選べるでしょう。
なお、コンペ不参加やその理由に関して、言い分はわかるが、あんまりうるさい会社はその時点で切ったほうがいいです。それはそれで顧客目線がなさすぎ、何様という話なので。
デザインはもとより、ウマが合うかどうか、これもホームページ制作業者を選ぶ大前提として大切です。