要件定義でウェブサイトの明暗が分かれる

ホームページ制作の発注というと、デザインに優れた会社を選ぼうと無計画なデザインコンペをやったり、単純に相見積もりで根拠が不明な制作費で決めたりしがち。

デザインや予算が大切なのは確かにそうなのですが、実はあくまでそれは二次的なもの。

その前に「どのような課題を解決するか(=要件)を定義しておくか」が重要です。これによってウェブ制作会社がどのようにサイトを仕上げてくるかが決まるからです。

要件を定義しておく書面を「要件定義書」と言います。

発注側として、出来る限り情報を集め、ウェブ制作会社と一緒に作り上げていくものになります。制作会社に丸投げはいけません。自社が抱えるリアルな課題の根幹までは、制作会社にはわかりようもないからです(わかった風なこと言う会社は怪しい)。

実は、ホームページのクオリティは最初のこの「要件定義」で決まっている。作り出す前に、もう勝負は決まっているんですね。

では、要件定義書とは、具体的にはどのようなものなのでしょう?

要件定義書のカンタン「3ステップ」作成法

3ステップで上昇するイメージ

要件定義書の構成はシンプル。以下の3ステップで行います。

 

①現状の「自社が抱えている問題」を抽出

②現在の「ホームページにある問題」を抽出

③それを「どのようにリニューアルで解決するか?」を策定

 

「要件定義書」なんて聞くと、なんだか難しそうですが、一言で言えば「問題解決のまとめ書き」ですね。

いまある自社の問題を棚卸しして、自社でまとめる。完璧でなくてもいいので、出せるだけ出してみる。①②は可能な範囲で発注側で最初まとめてみる。詳しくは『ウェブ担当者が発注時にまとめておく「7つ」のこと』をチェック。

③をひねり出すのはウェブ制作会社の仕事です。③のクオリティを上げるのは、その前の①②をいかに頑張るか。制作会社にも手伝ってもらいながら、できるだけ情報をかき集めましょう。

この要件の定義は、完全にホームページの明暗を左右します。

競合調査や市場の動向も

競合調査の報告をする人

会社の抱える問題をかき集めていくと、知らなかった闇を知ることにもなります。これをとても良いことで、会社にある「膿(うみ)」を出すことにつながる。

これは、たかがホームページ制作とあなどるなかれ、といったところ。

ウェブ制作をすることをきっかけに、自社の抱える問題、ホームページの至らぬ点を可視化できるのですから。当然、競合他社との比較も行うため、重要ミッションの競合調査も作業に入ってきます。

経営者のみならず、WEB担当者、新入社員にとっても、自社を省みる貴重な時間であり、大事な資料となってくるのが要件定義書なんですね。

ネガティブな情報こそ貴重で、この際出し切る。ポジティブな情報については強みとしてもっと伸ばしていく。

これは、ちょっと専門的なことを言うとマーケティングの「3A」や「SWOT」にも通じる考え方。自社の強みや弱み、競合の驚異、市場の機会などを考える大事なフェーズなんです。

ウェブ制作における要件定義書

要件定義書で打ち合わせする人たち

自社のスタッフを動員したり、ウェブ制作会社に取り仕切ってもらったりサポートしてもらったりし、この最初の「要件」を固めていきましょう。

なんとなくデザインコンペをやってみたり、相見積の価格だけで選定するのが、いかに的外れかわかるはず。デザインや予算はとても大事な要素とはいえ、そこだけに傾倒するのはお金も時間に無駄になるんですね。

競合調査を行い、要件へと落とし込む。そしてそれらに過剰なブランディングをせず、ひとつひとつ整理整頓して表現するのがウェブサイトです。

これらの作業が必ず制作プロセスあることを意識してください。

もしここを軽視してゴミのような提案だけしてくる制作会社があれば、即刻断りましょう。