(調子こいて)経営戦略まで語るウェブクリエイターがいる
昨今のWEB関連のクリエイターは、自身の「デザイン・ライティング・企画」などの範疇を超え「集客」や「経営戦略」風なことを語りがちです。
集客にまつわるクリエイターについては『「集客の話」をはぐらかすウェブ制作会社を信用するな』にて書きましたが、さらに上位概念の「経営戦略」に足を踏み入れてくるWEB制作者もいます。
打合せの場で、普段は社員からは聞けない新鮮な意見を聞くと、発注側の社長や部長もついつい「このウェブ会社いいな」となりがちですが、それは「語り慣れた営業トーク」であることを察知しましょう。
経営コンサル気取りのホームページ制作会社
本来経営戦略とは、競合調査や市場調査を経ての自社の「診断」から始まり、基本的な指針の骨組みを経て、行動と検証によって固めるもの。思いつきや一側面だけで決められるシロモノでは到底ありません。
ホームページの制作が専門で、そのウェブを作ることだけがプロのクリエイターが、他社の経営方針に口を出せること自体がおかしいのです。これは「意味のないブランディング」を高額商品にしている会社も同様。
なぜこういうことになるのかというと、ウェブ制作やブランディングという土俵になるとお客さん側が「素人」であることが多いから。そして明確な正解がないゆえに、失敗も可視化されにくいから。
ブランドづくりの概念やウェブサイトのあり方、ホームページの導線の話や、ウェブ広告、そしてSEO対策などのマーケティングに絡む話などをしていると、あたかも「会社のコンサル」になったかのように勘違いをしてしまうクリエイターがいるんですね。
そういった会社は「ペルソナ」から始まり「ユーザー体験」「アプローチ」「セイリエンス」「タッチポイント」等々のわかるようなわからないような言葉で、顧客を煙に巻いてきます。
しかしその実、話しているのは結局ホームページやロゴマーク、キャッチコピーの話だったりするんです。つまりこれらは、自社の「商品」を売るための営業トークに他なりません。言葉の付加価値をつけて値段も高額にしてくる会社もあります。本当にこのあたりはお気をつけいただきたい。
ホームページやロゴマーク、ブランディング、どうでもいいスローガンやキャッチコピーを刷新したところで会社の経営が安定するわけないのは、冷静に考ればわかるはず。が、打合せという実に閉鎖的な、少人数の空間ではしょうもない話がわりと大切なことのように、大げさに提案されるもんなんですね。
WEBコンサルは経営コンサルではない
「WEBコンサル」なんていう曖昧な職種もあるように、ホームページの制作と事業のコンサルの境界線が曖昧になっているケースは枚挙にいとまがありません。
ECサイトなんかになると、会社の生命線がウェブサイトですから、発注側のお客さんも思わず「生徒」のようになってしまうことがあり、クリエイター側が「先生」のようなかたちになることが出てきてしまうのです。
しかし、これはおかしな話。
ウェブサイトという限られたメディアでの集客の話と、その会社の方針というのは同じではありません。というかそもそも怖いのは、そのクリエイター自身が「ホームページを作成するプロではあるが、集客のプロでもなんでもない」ということ。
御社の経営戦略は御社や専門家と共に考えるべきであり、ウェブクリエイターやブランディングコンサルタントの根拠の薄弱な「素敵な思いつき」を重視してはいけない。
化けの皮を剥がすと「単なる営業」であるコンサルタントやクリエイターが、なんとなく「先生気分」で放つ言葉を真に受けないようにしましょう。
このあたりのお話は『ペルソナは本当に大事?根拠の弱さとデメリットを把握しよう』にも書いています。