提案書・企画書は盛り上がる、が。
ビジネスの様々な場面では、これから取り組むプロジェクトについての「提案書」や「企画書」を吟味しますね。
ウェブ制作で言うと、それまで口頭でやりとりされていた内容や、要件定義書などのまとめを「キャッチコピー」や「デザイン」などクリエイティブの方向性を可視化したものになります。
ウェブ制作における打合せにおいては、最初に盛り上がる場面ですね。
しかしその「盛り上がり」には大きな「隙(すき)」が介在することを知っておきましょう。
提案書は素敵なことしか書いてない
発注側としては、右も左も分からない「ホームページ制作」において「提案書」はわかやすいフェーズです。
「おもしろい提案だ」
「こんなふうになるなら大歓迎」
というふうに、心躍ることも多いでしょう。素敵なことしか書いてないからです。
お客側としては、自社の日常の業務とは一変するクリエイティブなウェブ制作の話に心躍るものですが、ひとつ注意点があります。
その提案書や企画書は「結局、何を言っているのか?」ということ。
提案書の仕様・演出にだまされるな
ウェブ制作会社の提案書というのは、割と千差万別。
なかでも注意したいのは、
①大げさに見えるが「冷静に見たら大したことない話」を書いているもの。
そしてもうひとつは、
②「やたら論理的に説明」をしているもの。
以下に例を交え、ひとつづつ見ていきましょう。
①「冷静に見たら大したことない話」の大げさな提案書
大げさな提案書というのは、巨大なA3用紙などを使用し、ロゴマークひとつ説明するのに長々と戦略めいたものを書き連ねていたり、サイトのデザインの解説によくわからないチャート図などを用いて論理的に見せているもの。
ロゴマークは確かに無下にはできませが、ロゴマークで集客できたら苦労しません。大げさなプレゼンでは、ロゴマークを「持続可能な御社の企業理念を象徴し、ステークホルダーのひとり一人とつながっているイメージを表しています」などと語られます。意味不明ですね。
しかしこれが、大げさな提案書に余白を贅沢に使って出されると、提案された側の社長は「これで我社も生まれ変わり、社員の士気も上がる」などと大きな錯覚をしてしまうのです。そして、ロゴマークひとつに何十万、何百万を払うこともあります。
②「やたら論理的に説明」をしている提案書
この提案書は、数字や循環図、フロー図などと共にいかにその企画が理にかなっているかを説明しているものです。
言わずもがなの暗黙の了解ですが、提案してくる側は提案書にデメリットを書きません。マーケティングのデータも都合の良いものを拾ってきているだけ。
しかし、こちらも、提案された側の社長や広報部の方々は「これはいける」などと錯覚をしてしまうのです。
ここまで読んでおわかりの方もいると思いますが、こういった提案書は単なる物売りと同じで、全て「制作会社の妄想」「我田引水」「自社製品を売るための大げさなこじつけ」です。
「提案書なんてそもそもそんなもんだ」という冷静な視線が必要ということですね、魔法にかからずに。
素敵な提案書ほどコミットしていない
具体的なようでふんわりした企画や提案書の最大間抜けな点は「何をやるのかコミットしてない」こと。
ホームページやロゴマーク、パンフレット、ついでにスローガンなどを作るのはよくわかったが、クライアント側に、実は何も約束してない提案書は多々あります。ふんわり提案書ってやつですね。
例えばウェブサイトの制作なら、客側が求めるものは一般的に、
「集客・売上げアップ」
ですよね。
認知度の向上やブランドイメージの浸透なども最後はここに帰結すると言えるでしょう。
これにつながるのかどうかがポイントなわけですが、ホームページ制作会社は実は「集客・売上アップ」は一切約束しません。ここに注意してください。
ウェブ制作会社は「作るだけ」のプロ
ホームページ制作会社やブランディングのプロデュース会社が得意なのは「モノを作ること」だけ。集客の完全なプロではありません。集客用の作り物(=サイト、ブログ、SNS、広告、SEO)は提供できるが、結果の責任は回避しており、つまり「作るだけ」が実は専門。
ここに「ブランディングがどうこう」「ステークホルダーがどうたら」という話をくっつけています。いずれも、数値効果は測れないもの。もちろん売上につながったかの検証は超絶に曖昧orナシ。
もし、御社が自社のブランドを刷新したい「だけ」なら、それでもいい。
しかし、売上を上げたいならば要注意。集客を出来ると錯誤させる提案に気をつけてください。
その「内容があるようでない」という提案書の例は『ホームページ制作会社のありふれた提案はゴミである理由。』にて解説します。