WEBサイトのリリース後に続く「修正作業」
今回は、ウェブサイトのリリース後に定番で頻発する「修正作業」について。
ここも「なるべく手離れを早くしたい制作側」「そもそも修正あるのがおかしいんだから最後まで責任取れやの発注側」の双方で落とし所が見つからない話です。
この問題は「どこまで制作側が受諾金額内でやるべきで」「どこからを新たな修正費用をもらってやるか」の境界線が曖昧だと発生します。
つまり、基本的にはお客さん側に責任はなく、制作会社が「事前に話をしておけるか」「どこからが費用発生と説明できるか」によると考えます。ウェブ制作会社に責任がある、ことがほとんど。
しかし、中にはモンスタークライアントもいて「永遠に無料でやらせる」というモードの会社もあります。これはその会社の企業体質あるいはその担当者の正確や立場にも依存するところ。
制作会社の責任「TOP3」
リリース後の修正作業でモメるパターンはある程度決まっています。
前段で「制作会社に責任がある(ことがほとんど)」と書いた理由、その「TOP3」を書いてみます。
①プレゼン時に素敵な話しかしてない
②見積書に記載も補足もない
③契約書に書いているが事前説明してない
以上です。
「とにかく受注したい」と考える営業ほど、この傾向にあります。当然、そのあとに荒波にもまれるのはWEBディレクターであり、配下のクリエイターとなるわけです。
「良い話」だけする制作会社の営業
一般的にはウェブ制作なんてのは、お客さん側からすると1年に何回もやるものでなく、早くて2~3年に1回、やらない場合は5年10年やらないこともあるほど。つまり、制作におけるルールはお客さんは知る良よしもありません。
それをいいことに、耳障りのいい(=ゴミのようなプレゼン)や、やたらと「ブランディング」を高尚なものに祭り上げての大げさな提案書によって煙に巻いて仕事を受注する。
お客にとって耳の痛いこと、不利なことの説明な皆無で契約までもっていく営業も多いため、いざウェブサイト制作が始まってさらに「現実的な局面」にさしかかったときに、モメるのです。素敵な話しか聞いてないお客は、まさか自分たちが耐え忍ぶようなフェーズがるとは思ってもいないから。
リリース前もそうですが、特にリリース後の修正作業においてエンドレスで依頼をするお客さんは歯止めがかからない状態になっており、そこだけを見るとモンスタークライアントですが、その火種はそもそもどこにあったのかを制作会社は省みる必要があります。
本記事の文脈だと「制作会社の営業」が戦犯となりえますが、会社の体制によっては他のパターンあるでしょう。例えば「その営業の上司(の指示がそもそも悪い)」とか。
あるいは、営業はいろいろお客に話をしていても、打合せに入ったディレクターやデザイナーがお客に気に入られようと「まあ固いことはナシで」「なんでも対応しますよ」と、営業の努力を水の泡にしているなど。
この「責任問題」の最たる所在は「ある人たち」にあるので、それは本記事の最後に説明します。
お客側に責任はないのか?
ここまで書いていると、お客さんには責任がなさそうですが、そうではありません。
「社長の鶴の一声」で根こそぎコンセプトやデザインが変わりかけるとか、担当者の「たびたびの思いつき」での修正などは制作サイドに過度の負担をもたらします。修正回数においても常軌を逸した数(1箇所につき5〜10回など)になることは、制作サイドの責任だけとは言えないでしょう。制作側のそもそものスキルが低い場合もありますが。
こういったケースでは契約書を通して話そうとしても、なかなかそういった文化の乏しい日本では「書面を使って機械的な話をするのは失礼」「人情の話だ」というような軸に話がズレがちです。
発注側は「予算内でやってほしい、やるべきだ」となり、受注側は「それはわかっているが、契約内容を超えてくるものは毎度YESとは言えない」となる。こういった話はウェブ業界にほんとにあるあるです。
制作会社は説明を、客サイドも心構えを
リリース後の修正トラブルを避けるには、
①制作会社は契約書・見積書・プレゼンを通し事前に説明
②発注側は「対応範囲」を確認
これで結構な確率でモメごとは避けられます。「修正」といっても、ご立派なシステムでも導入しない限りは値段も跳ね上がりませんし、価格は常識的なウェブ会社であれば驚くような価格にはなりません。ゆえに、追加修正の領域と価格感は事前に双方が把握することで合意〜契約が平和。
中には悪質なホームページのリース契約を商材にする会社が「そもそも修正しない」「やっても高額」なんてこともあるので、特に発注側としては要注意です。
経営層・幹部クラスは「仕組みづくり」を
ウェブ制作の経営層や幹部クラスは、現場モメごとがあると「またやらかしたな」と、上から目線&距離をおいた発言をしがちです。
しかし、発注側・受注側の双方がいがみあうことがないような「体制づくり」「契約書づくり」「受注フロー」は上層部が指針を掲げそれを社内ルールに落とし込むところまで見届け、さらにそれが「実行されているか」を確認する必要があります。
実はこれは現場のみの仕事ではありません、立派な「企業体制」「経営課題」のひとつ。
修正トラブルやクレームが頻発する会社は、そもそも上層部が現場を放置しているケースが多いと考えます。
「現場がトラブル続きでねえ…」と、半ば他人事の部長さん、役員さん、社長さん。御社は大丈夫ですか?