モメるランキング上位の「著作権」

今回は「著作権」についてです。

例えば御社で、ウェブ制作会社にロゴマークを作ってもらったときや、WEBサイトを作ってもらったとき。

ロゴマークの「イラストレーターのデータ」やWEBサイトで使用されているデザインなどの「元データ」はもらえるのでしょうか?

お客側としては「発注したんだし、お金を払っているんだから全てもらえる」と、思いがちですが…

実はこれ、もらえることが少ないんです。

契約を交わすのが義務

著作権の契約書にサインする人

制作会社側としては「ロゴマークのJPEG・PNGデータなどの『画像データ』は渡せるけど「原盤のデータは別ものです」というのが一般的。WEBサイトでも同様。

また法律上、ロゴマークの著作権自体も、制作した側にあります。これは「無方式主義」と言われるもので、特別な手続きなどなくても「制作した人(組織)に著作権が発生する」というもの。

つまり、企業がロゴマークを発注しても、もらえるのは「画像データのみ」というのはイレギュラーなことではなく、もし元データ(イラストレーターのデータなど)が欲しければ、あるいは著作権までも欲しいのであれば、書面できちんと「データ譲渡」「データ買取」等の契約を締結する必要があるんですね。

そう、ロゴマークの「画像」はくれても、元データは「別料金ですよ」という会社は普通にあるんです。むしろこれが一般的と言えるかもしれません。

この部分をきちんと説明できない、あえてしないクリエイターやウェブ会社の営業は多いです。なぜなら、発注をもらう前にモメたくないので。そのため、あとあとになってロゴマークやWEBサイトの納品時のトラブルになる。

お客「え?もらえないの?」

ウェブ会社「すいません、契約書には書いてあったんですが…」

このようなやりとり。よく見るとかなりウェブ会社に有利なことしか書いてない契約書にもなっている。してやられた、となってもあとの祭り。

せっかく二人三脚でやってきた仕事でも、最後に後味が悪いと台無しになってしまいますよね。

制作物によって著作権は変わる

さまざまな制作物のイメージ

では、具体的に「どんな制作物に」「誰の著作権が付くのか」を見てみましょうか。

結論「作った人」なわけですが、まずは見てみましょう。

①ウェブサイトの「デザイン」は?

制作会社に著作権があります。

②「写真・動画」は?

1)自社で社員が撮影した写真や動画

もちろん自社(の社員)に著作権があります。

2)委託したカメラマンが撮影した写真や動画

そのカメラマンに著作権があります。

3)制作会社が素材サイトから持ってきた素材

その素材サイトの利用規約に準じます。「商用フリーの写真サイト」であっても、制作会社に著作はなくそのサイトに著作権があります。

③「記事」は?

1)自社で社員が執筆した記事

自社(の社員)に著作権があります。

2)制作会社が委託したライターの記事

そのライターに著作権があります。

3)制作会社の制作陣が書いた記事

その制作会社(の作者)に著作権があります、

 

ここまで見るとシンプルに「作った人に著作権」というのがわかってきますね。この他「サイトのソースコードは書いた会社に著作権」となりますし「キャッチコピーも書いたライターに帰属する」となるわけです。

ウェブ制作で払うお金って…

ウェブサイトのイラスト

作った人に著作権が帰属してしまうなら「せっかくお金払うのに、ウェブサイトの何が自社の財産になるんだよ?」となるかもしれません。

発注側の会社が手に入れることができるのは「ウェブサイト」ではありますが、それぞれの制作者が宿る著作権までは買い取ってないんですね。

ウェブ制作費用」とは文字通り「ウェブの制作にかかるコスト」を払っているに過ぎない、というわけです。ここは大きなポイントであり、ウェブ制作会社がちゃんと説明しない箇所でもあるので、知っておきましょう。

となると、そのサイト内のデザインや記事、キャッチコピー等を自由にいじりたいならば、通常の契約の他に「著作権譲渡契約」を締結する必要があるんですね。

著作権譲渡には費用がかかる

千円札のイラスト

著作権のトラブルが発生する前に、ロゴマークやWEBサイトの発注の際には、きちんと「元データ」や「著作権」について確認しましょう。世の中には、著作権の注意喚起がなされている記事も結構あるので、チェックしておくと良いでしょう。

現実的には、会社間の契約解除は決して簡単ではないため、気に入らないからといって関係を断ち切れるわけでもありません。

そして、元データの譲渡には別途お金がかかる覚悟もしておくのが必要です。ここも、会社やクリエイターによっては著作権ビジネスに明るくないケースもあり、当然のように元データも納品するケースもあります。契約上は「著作権譲渡契約」と呼ばれる契約になります。

ケースバイケースではありますが、よくある揉め事のひとつがこの「元データ」「著作権」ですので、プロジェクトの開始前にきちんと両社で合意のうえ、スタートするのが大切。

例えば現在ウェブ制作会社と契約していて、他のホームページ制作会社に乗り換えたい場合にも、慎重なチェックが必要なのが著作権です。

たまに、そのようなことを気にしないで全てのデータをあげる会社や適当なフリーランスもいますが、基本的にちゃんとした会社ほどこの著作権・版権データには厳しいもの。

制作を依頼する側としてはここで怒り狂うことなく、ホームページ制作会社が持つ権利を「どのように引き渡してもらうか」「事前に説明はあったのか」を冷静に考え施策を練ることが必要です。