昭和の風物詩「お客様インタビュー」

今回は、よくホームページ制作会社のウェブサイトに掲載されている「お客様インタビュー」についてです。

結論、これはインタビューという形をとった「盛るブランディング」「負の面を隠した超成功例」を見せる営業手法。

お客様インタビューは、通販番組などでよくある棒読み&ベタ褒めの「使用者の声」となんら変わりません。もはや昭和の風物詩ですね。

そのため、こういったお客様インタビューに掲載されている事例というのは、話半分で見ておくのが懸命です。もっと言えば、読んでもその制作会社の本当の姿はみえないどころか盛られてしまっているので、無視するのがオススメ。

制作会社は「優しそうな客」を逃さない

金の匂いを嗅ぎ分ける営業マン

わざわざ制作会社のサイトに顔を出して、さらにネガティブな話が一切飛び出さないインタビュー掲載までOKというのは、懐の深いお客さんです。

制作会社というのは、制作段階から虎視眈々とそのような器の大きなお客さんを逃しません。

自社の「我田引水コンテンツ」で大いに自社を褒めてもらう「お客様インタビュー」への出演計画は、制作会社内で虎視眈々と進められ、かつ炎上しなかった顧客にオファーがいきます。

出演する側も「いいものが出来たから」と笑顔でサイトに出てくれることが多いようですが、その笑顔は半永久的にその制作会社の集客装置として使われます。制作サイドは平身低頭にしつつも、そのお客様インタビューが次のお客を引っ張って来てくれるようにしっかりと作り込みます。

出演する側も大人ですから、お客側もオファーを受けた時点でどういうことかは察していますから、インタビュー内容は「出来レース」であることは言うまでもありません。

しかしそれが「出る側・出てもらう側」双方合意でやっていることなので、第三者が違和感を持とうがなんだろうが関係ないことですが。内情を知る者としてわざわざ筆を進めていきますので、興味ある方は続きをどうぞ。

コテコテのベタ褒め行進曲

お客様インタビューに答える人

このお客様インタビューというのはある種奇特なもので「WEB制作会社に得はあれど、顧客側には特に旨味がない」という珍しいコンテンツ。

インタビューの回答はだいたい決まっており「業者選定の時点で御社は別格だった」「デザインがイメージ以上で満足した」「作業の進行も滞りなく」「納品後のケアも丁寧」といったところ。コッテコテです。

実際のホームページ制作においては、作業の遅延やミスというのはどうしても発生することが多く、二転三転して納品まで漕ぎ着けるケースが10割と言って良いでしょう。それは客側の事情やわがままで滞ることもあれば、制作会社側のミスや作業の難航など、さまざまなケースがあります。

このようなマイナス面は一切語られないのが、光り輝く「お客様インタビュー」。そもそも良いことしか書いてないホームページは怪しさの極みとも言えるでしょう。

美辞麗句が渋滞を起こしているものがほとんどですが、こういった予定調和のコンテンツは、業者選定においての目安にしないことをおすすめします。

業者選定時に起こりがちな「確証バイアス」

業者選定に煮詰まる人

社会心理学に「確証バイアス」なるものがあります。

カンタンにいうと「人は信じたいものだけ信じる」というやつですね。

恋愛なんかでもよく生じることであったり、ビジネスでいうと「時間ない時」「面倒な時」などに生じるので気をつけたいトラップ。

出来すぎな提案書やプレゼンなんかにもこの症状は見られますね。本当は非常に狭い世界の話をしているのに、世の中全部に、市場全体に、その提案に沿いまくったデータが根付いているようなプレゼン。

そんなキレイすぎる提案を疑いもせず「うん、なるほど」と信じてしまう(信じたい)聴衆。だいたいこの場合、そのプレゼンターに確証バイアスが働いていることが多いです。「この業者が一番いいんだ」と最初から思っていたり「この業者しかいねえだろ」と誰かと張り合っていたり。

私たちがネットで買い物するときに、悪いレビューも見るけど結果的に良いレビューを多めに見て自分で自分の背中を押すようなケースもそうですね。

話を本題に戻すと「お客様インタビュー」は、そういったケースに機能してしまうものとも言えるでしょう。盛りすぎブランディングの一貫である、という側面も強いですが。

業者選定は冷静に

ウェブ制作会社の選定は難しいです。

実際は、制作選定時にやってはいけない「3つのこと」も結構やっちゃうもんです。

しかし、少なくとも「お客様インタビュー」を参考したり、そこに夢を見るのは要注意。あれはおとぎ話みたいなもんで、通販で健康器具を絶賛する棒読みのユーザーと変わらない「作られたコンテンツ」もうちょっと弱めに言うと「作られがちなコンテンツ」であると認識しておくといいでしょう。

それよりも、その会社の営業はもちろん、ウェブディレクターらと面談を重ね、要件定義などを通し冷静に業者選定をされることをおすすめします。