「売り売りサイト」は疑われる

ホームページは制作前、制作中、そしてリリース後も、その過程においてさまざまな打合せを制作会社と行います。

そこで陥りがちなミスは「良いことだけが満載」のウェブサイトが完成すること。

どのページを見ても最高なことだけが書いてあり、非の打ち所がないサービスになっている。それが胡散臭さを生んでいることに気づきましょう。

売り売りのサイトはかえって怪しく、また企業としての誠実さが欠落していると言えます。臭いものに蓋をしている会社と言えるからです。

この時代、それは大きなリスクを背負うことに繋がります。

「良いことだけ書くサイト」だらけの昨今

サイトで自社のデメリットに1ミリも触れてないというのは「隠蔽」つまり「ウソ」にも繋がること。

いくら自分の胸のなかで「ウソではない」「他社もそうしている」という言い訳が成り立っていたとしても、お客が気づけない見せ方をしていることに変わりありません。

自社のサイトが「ちょっと盛っているな」「いいことだけ言いすぎてるな」と思ったら。こんな言葉を思い出してください。

《一度ウソをつくと、そのウソをずっと覚えてなければならない》

「ウソ」なんて書くと「うちはウソまではついてないよ!」と言いたくなるかもしれませんが、似たようなもんです。客に本当のことを伝えないで黙ってお金をもらおうとしているんですから。

昨今は、企業や商品の良いところを過剰に演出する「盛りすぎブランディング」が横行しています。「ブランディング」という便利な言葉の拡大解釈が生み出した産物と言えるでしょう。

良いことだけ書いた場合の「4つの代償」とは

サイトに良いことだけ書いた場合、このような代償を背負います。

①クレームの数が増える

クレームの数に困る人

日常的に消費者を騙してしまっているので「騙された」というダメージを負った客は自然と増えます。顕在クレーム、そして問合せまではしてこないが周囲に騙されたことを教える潜在クレームの数も増えます。

②クレームの質が悪くなる

悪質なクレームに対応する従業員

クレームにも、冷静なクレームと悪質なクレームがあります。特に「サイトにはそんなこと書いてなかっただろ」という「怒り」は、質の悪いクレームに発展するでしょう。電話やメールでは怒りは鎮火せず、永久に残るネットでの書き込みなどに発展する恐れが非常に高まります。

③対応スタッフの疲弊

クレーム対応のノルマに疲弊する人

上記①②を対応するスタッフは疲弊し、離職やモチベーション低下に繋がります。

④会社の没落

会社を倒産させて落ち込む社長

上記①②③が続けば、当然会社の力は落ち、ひどいう場合は倒産やサービス閉鎖に追い込まれるでしょう。

実際の業務に悪影響

サイトであんまり完璧を気取ると、当然、問合せをもらったときに、お客には「完璧であり続ける」ことになります。

鋭い客に「それサイトに書いてなかったよね?」「契約書にも書いてなくない?」なんて突っ込まれたら、営業マンや受付業務はしどろもどろになるでしょう。未熟な社長や部長は自分が矢面に立たないので、この痛みさえも「その対応も経験だ」と正当化するものです。

またお客からのツッコミを切り抜けることができても、客にはしっかり不信感だけが残る。そしてこの時代、ネットやSNS、リアルの口コミですぐに悪評が広まります。こういったことの積み重ねで、会社は倒産したり、サービスは消えてゆくのです。

売上が落ちていく会社

例えば当社の場合は「制作費は安くないけど、高くもない」「集客できるかの確約はできない、やってみないとわからない」と書いたり、電話でもそう伝えます。ですので、背伸びする必要もなく、営業部に「〜〜〜と言え」などと口裏を合わせる必要もありません。もし当社の営業マンが会社を辞めても「あの会社はウソだから」とは言わないわけです。ホームページ制作は長丁場になることが多いですから、お客さんには当社の人間性を見てもらうようにしています。

サイトでは良いことだけ書かず。むしろ正直に書いておく。せめて「完璧に良いことだけ書いた状態」にはしない。自社のサービスで不足なところやこれから取り組んでいくことなどを書いておく。

これがこの時代にフィットする、正直マーケティングと言えるでしょう。

有名な会社より正直な会社を目指す

OKサインを出す会社員

とかく経営者は自社を有名にしたがったり、権威を欲しがる傾向にあります。しかしそれは順番が逆ですよね。

有名な会社を目指すより、正直な会社を目指したほうが、将来的な伸びしろは出る。逆に言うと、嘘をつきなれている会社は社員にも慢性的にうっすら罪悪感があり、つまり会社の足元は常に揺らいでいる状態。そんな会社が有名になれるでしょうか。なっても炎上のいい餌食でしょう。

ECサイトの商品レビューを見てもわかる通り、盛ったり偽りのある商品は秒で世間の目にさらされます。騙された恨みは「デジタルタトゥー」としてウェブ上に刻まれ一生消えることはありません。

たかがウェブサイトとあなどってはいけません。一般のお客さんは御社の会社見学に来れるわけでもなく、熱心な社員と話す機会もなく、ましてや社長のブログも著作も読みません。ホームページだけを見て、会社を判断します。

そこで「盛りすぎ=ウソつき」をするのがどれだけのリスクとなってくるか―。

WEB制作会社やブランディングのプロデュース会社が無責任に提案してくる「盛りすぎブランディング」に「うちの魅力わかってるね!」と能天気に喜ばず、注意を払って検討することを心がけましょう。