ちまたの「無料サービス」に気をつけろ
今回は巷にあふれる「無料サービス」の罠や詐欺的な営業手法について書いていきます。
まず大前提として、企業は自社が損することはしません。
数字上は赤字だったとしても、転んでもただでは起きないのが企業であり、顧客から何かを取るのは普通です。営利企業であれば当然。
しかしいくらビジネスでも「ひっかけ」は良くないですよね。
今回のお題「無料」こそ、ひっかけの王道とも言えるものなので、事例と共に学んで対応力をつけておきましょう。
要注意の「無料サービス」トップ8
では、よくある「無料サービス」ならではの言い方や書き方、営業手法を見ていきます。
みなさん、ひっかからないでくださいね。
①「ご相談無料」
そもそもご相談ってのはありがたい「お問合せ」なわけで、わざわざ電話やメールで問合せしてくれた見込み客に「ありがとうございます。ご相談は1件につき1,000円です」「30分につき1,500円をいただいております」とは言いませんね。
つまり、そういうことを言っている会社は、いつも相談(問合せ)は無料です。無料どころか、喉から手が出るほど欲しいゆえにそのような書き方をしているんですね。
弁護士でさえ初回の相談は「ありがたいお問い合わせ」として定義し、無料にしていることが多い昨今、一般企業が「問合せくれたユーザーから相談料をもらう」なんてことは元々ありません。
まさに「無料」という言葉の響きで煙に巻く王道です。
②「ご提案無料」
はい、これもたまに見ますね。
確かに業界によっては、本格的なコンペや条件によっては提案料をもらうこともあります。ただし、一般的な問合せに対してなんらか提案をする場合に「当社は提案料は3万円です」「3万円ですが今回は無料です」なんてことはありません。
もともと無料なのに、なんとなく「今なら無料感」「なんと無料感」を出しているやり方ですね。
前述の「ご相談無料」と並んで、こういったレトリックでくる会社は候補から外しましょう。
③「実質無料」
「実質」という書き方が、奥歯に物が挟まりまくった感満載ですね。
この実質無料を和訳すると「先にお金もらったり、いろいろ不利な感じのことはさせるけど、このような(強引な)考え方により、元が取れると言えなくもありません」というものです。
④「無料ダウンロード」
いかにも内容が充実しているように見えて、実際にダウンロードすると「概要」のみ。
ひどい場合は「ほろんどが会社案内、事業案内」なことも多々。
詳しくは、無料の資料ダウンロードの弊害と実態についてをどうぞ。
⑤「自己負担なし」
社会的な事件にもなっているのが「保険金を使って住宅の修理が出来る」というもの。この他にも、情報の洪水で考える余地をなくし「実質無料」だけをプッシュしてくる携帯キャリアの会社も警戒しときましょう。
⑥「送料無料」
これも安心はできません。送料は一見無料だが、この時代、しっかり商品の価格に乗っけられています、あるいは、サブスクリプションなどで年間払いなど終わらせているか。単純に喜ぶのは能天気すぎるので気をつけましょう。
⑦「無料対応」
たいがい、声を大にして言っている「無料対応」はもともと無料であることが多いです。
企業がわざわざ損をする領域まで無料にする、それを宣伝に使ってくるというのはケースとしては稀でしょう。
「今なら無料でご対応中」などは、軽めにスルーを。いつも無料なので。
⑧「コンサル無料」
無料も何も、コンサルできて嬉しいんじゃないの?っていうやつですね。
あたかも、いつも初回からコンサルのお金を取っているかのようですが、普通にいつも無料なのを「コンサル無料」と言っているだけです。
つまり無料と言ってない会社もたいがい無料だったりするので、「この会社は無料だしな…」と悩む必要はありません。
もはや「無料」は定番の営業ワード
日々の生活のみならず、ビジネスシーンでも横行する「無料」という言葉。
タダより安いものはないというわけで、無料という響きには一定の人の集まるはずだという目論見なのでしょう。
しかし本当にその無料サービスはお得ですか?と、一歩引いて見るのも大事ですね。
この現代において、もはや「無料」は単なる営業ワードになってしまった感があります。
それはブランディング?それともウソ?
昨今流行りの「ウソではない」というロジックは、「ウソではないけどウソとも言えるよね」と言えてしまうもの。
今回ご紹介した「無料サービス商法」は、あたかも「普段はお金がかかるけど…ナント今回は無料だよ」と、強引にお得に見せる手法ですが、ユーザーの大半はもうこんなのに惹かれないのでは?と思います(思いたい)。
でもやっぱり、フック(きっかけ)としては「無料」ってのは目につくのが強み。「いつも無料だけど、とりあえず強調しとけ」「ウソではないしな」というノリ。
当サイトでもよく警鐘を鳴らしている「意味のないブランディングには金を払うな」理論や「ウソまみれの盛るブランディングに慣れてはいけない」理論ですが、まさにここに共通して言えることです。
無料というのは決してウソではない、という「ブランディング」によって、リテラシーの低いユーザーを獲ろうとしているのでしょう。いろんなやり方があっていいのでしょうけども、なんかひっかかるなと思っております。
みなさまもぜひ、あたかも特別感を微妙に出している「無料」を見たら「いや待てよ」「これ普段も無料だろ」とツッコむクセを持っておくと、身の安全を守れるかもしれません。