「着手金」という謎のルール
「制作前に着手金として50%の前払いを…」
「え?そうなの?」
これはホームページの制作現場、契約の場でよく見られる光景。
お客側からすれば「何も出来ておらず、どんなクオリティかもわからないのになんで50%もの現金を払わないといけないの?」となりますよね。
反対にウェブ制作会社からすれば「制作スケジュールが長期にずれ込む可能性があり、その間ずっとタダ働きはできない。制作途中でトンズラされるかもしれないし、完成したときに払ってくれないかもしれない」というリスクを少しでも回避したいー。
WEBサイトは一般的なイメージとは異なり、非常に時間と手間ひまかかる「完全なアナログ作業」です。
テンプレートを使わない場合などは、膨大な作業量が待ち構えています。スケジュールどおりに進むことのほうが少ないという、時間的なリスクも多分にはらんでいる。
しかし、お客に言わせれば「仕事ってそんなもんじゃないの?」「どこの会社も、人を使って手間ひまかけて、スケジュールに追われながらやってますよ」と言いたくなるものです。
果たして「着手金50%」や「手付金50%」というのは、妥当なのでしょうか?
着手金は「WEB制作会社にしか得がない」
制作上のリスクは理解できるとしても、払うお客側からすれば逆のことが言えてしまいます。
「払ったあとに御社が倒産するかもしれないし、予想を裏切るクオリティのものが出来るかもしれない。御社の実力も仕事っぷりもまだ全くわからないのに、いきなりお金だけ振り込むのはちょっと」
このような意見。
まさに、ホームページ制作会社とは反対の意見ですね。
つまりWEB制作における着手金・手付金あるいは前金とは、制作会社の都合が入りすぎているゆえ、発注する側には抵抗があるのは当然のことなのです。
そんなウェブ制作会社に限って、サイトの制作時にお客には「ユーザー目線が大事」「ユーザーとの接点が大切」などと講釈を垂れるのですから、おかしなものです。ユーザー目線が大事ならば、自社都合全開で高額の着手金をせしめようというのは矛盾していますよね。
着手金はいくらが妥当?
着手金や前金はいくらが妥当かですが、その案件の規模・予算に関係してきます。
5万円のロゴで1週間で納品予定ならば、何も半金を払う必要はないでしょう。30万円くらいのWEBサイトでも納品後入金というケースもあるでしょう。
しかし100万円以上のWEBサイトになると、ホームページ制作会社側から、いくらかの着手金のお願いがあると思われます。
しかし、この着手金というのはホームページ制作会社側が勝手に作っている決まりなわけで「何も出来てないのに何十万、何百万が払えるか」という企業もあるはず。その場合は「着手金・手付金のない企業を探す」のがストレスのない選択になります。アッサリ切り替えましょう。「じゃあ着手金なしでいいです」と撤回されても意味不明ですし、手抜きの仕事をされてもかないませんから。
あるいは「半金は払えないが20%なら」「1~2ヶ月仕事ぶりを見て30%以内の着手金なら」という妥協案を出しても良いでしょう。
着手金は法律で決められているような鉄則ではないため、企業同士双方が納得できる契約を交わすのが良い選択です。
着手金の融通が効かない会社は避けよう
着手金は確かにホームページ制作会社からしてみれば喉から手が出るほど欲しい「保険金」。
しかしこれは、客側にメリットはありません。
もし、ホームページ制作会社側が執拗に着手金にこだわる場合は「資金繰りがそんなに苦しい会社なのか」という疑いも出てきます。
「他社さんにもそのようにして頂いている」
「払ってくれれば制作スタッフを優先的に抑える」
などと、既成事実化する営業マンもいますが、それも勝手な都合ですよね。着手金を払えというのはサラッと契約書に書いてある場合もあるのでご注意ください。
ホームページ制作会社は基本的に自転車操業のため、資金繰りに余裕がある会社のほうが少ないと言える業態。よって、営業マンに「必ず着手金もらって来い」「着手金のない案件は受注とみなさず、制作を開始しない」とプレッシャーをかけているブラックな制作会社もあります。
発注側の企業は、そんな制作会社の都合は関係ないですから、着手金が当たり前のように「50%以上」と高額であったり、とにかく入金にこだわる会社があれば、避けるがベスト。払うとしても、20~30%程度を上限にしておくのがいいでしょう。10%でもいいと思います。
星の数ほどあるホームページ制作会社、いくらでも融通の効く会社はあります。御社にとって高額と思われる金額、それがたとえ数パーセントの着手金であっても、もしイヤであれば不毛な押し問答は止め、さっさと他の会社を探すのをおすすめします。